80年代のNYで9歳の少年が失踪。刑事が粘り強く事件を追う一方で、息子を何としても見つけ出したい父親もまた、自身の内なる闇と向き合いながら独自に動き始める。
出演:ベネディクト・カンバーバッチ、ギャビー・ホフマン、マッキンリー・ベルチャー三世
原作・制作:アビ・モーガン
ヴィンセントは、愛情をかけて育てた番組を再びトップに返り咲かせるために奮闘している。彼は、芸術的表現を周囲の世界と繋がるための唯一の手段としている、悩める魂の持ち主だ。彼の性格は仕事と家庭に悪影響を及ぼし、息子のエドガー(アイヴァン・モリス・ハウ)と妻のキャシー(ギャビー・ホフマン)との関係は行き詰まっている。
ヴィンセントとキャシーの口論があまりにも激しかった翌日、エドガーはひとりで学校に向かうことにする。ところが、エドガーは学校に現れなかった。街をあげた捜索が始まるなか、ヴィンセントは息子の失踪に対する罪悪感や悲しみと闘ううちに、狂気に陥っていく。
喪失感への対処法なのか、あるいは自分を責める方法なのか、ヴィンセントはエドガーが失踪前に描いた人形、エリックの幻覚を見るようになる。エリックは『モンスターズ・インク』のサリーのような風貌で、荒々しいなまりがある。
多くの点で『エリック』は贖罪の物語だ。ヴィンセントは、自分自身が生み出した“悪魔”と対峙しなければならない。これは、物理的と比喩的、両方の意味で息子から遠ざかってしまったヴィンセントが、その距離を縮めるための物語である。