「オクトパスの神秘: 海の賢者は語る」でアカデミー賞®を受賞した監督が、物議を醸すテーマと圧倒的な映像美で贈るドキュメンタリー、「シャーク・ウィスパラー: サメと共存するために」。本作は、現代の自然保護活動において、科学とアクティビズム、ビジュアル表現が交錯する未知の領域を掘り下げる。
その中心にいる人物が、海洋生物の保護活動家であり、ソーシャルメディアで多くの注目を集めているオーシャン・ラムジー。彼女がサメとともに自由に泳ぐ動画は大いに話題となり、世界的な関心を集めたが、同時に激しい議論を巻き起こした。サメ観察用の檻から出て、間近でサメの言葉を理解したいという思いに突き動かされたオーシャンは、これまでにない仕方でこの捕食動物と繋がろうとする。それは、サメに対するネガティブなイメージを払拭したいという願いからだ。彼女の支持者たちにとってその姿は、誤解されているサメたちを代弁する恐れを知らない擁護者。一方、彼女を批判する者たちは、その活動が地球を救うこととスポットライトを浴びることの境目を曖昧にしていると考えている。
本作は、息を飲むような海中撮影の映像美を背景に、登場人物の人となりを深く掘り下げながら、保護活動と倫理観の間に生じる葛藤や、メディアの影響と生態系保持の間に生じる緊張感を探求する。海洋生物学者やハワイ先住民の文化継承者の見解、そして仲間の自然保護活動家たちの賛否両論を基に、世論を二分する人物を繊細な視点で捉え、彼女が投げかけるより広範な問題を描き出す。
この作品は、単なるサメの話にとどまらない。自然の声や私たち自身をどのように伝えていくのか、そして自分の声を聞いてもらうために何を犠牲にする覚悟があるのかを探る内容になっている。