ベトナム反戦運動や女性人権運動に揺れる1970年代の米国マサチューセッツ州を舞台に、奇妙な窃盗を行う平凡な人物の行動を描いたケリー・ライカートの最新作。失業中の大工のJBは、普通の家庭を持つ父親でありながら、非凡な行動を起こすことに憧れ、ある犯罪を計画する。それは、市の美術館からモダニズム画家アーサー・ドーヴの作品を盗み出すことだった。だが、ムーニーの計画は、様々なトラブルにより崩れはじめる…。映画はドラマチックな展開を徹底的に排し、主人公の日常生活の描写が当時の雰囲気を正確に再現した美術デザインの中に描かれる。