ムクの木の話(1947)
一本の老木に訪れる四季の推移を、作曲家・早坂文雄の流麗な劇伴とともに語った作品。
広野に立つのは、一本の年老いたムクの木。秋になり、虫たちの音楽会が彼の孤独をまぎらわす。だがやがて椋鳥が来るようになると、その秋も終焉。鶴の飛来を追うように、悪魔の冬将軍がやってきた。だが日々は巡り、春。暖かい陽光の中で再び椋鳥や虫たちも姿を見せてくれた。こうしてまたムクの木は、平和を満喫しつつ夏を待つ。
東宝教育映画部が自社製作した、本格的アニメ映画第一弾。18世紀の英国詩人シェリーの詩「冬来たりなば春遠からじ」を題材にした作品で、黒沢明作品群で有名な作曲家・早坂文雄が音楽を担当した。ムクの木を主役にしたシネマ・ポエムともいうべきアニメーションで、映画世界社賞を受賞している。