映画制作者のアンソニー・ゲフェン氏に「船の最後の瞬間を再現する」機会を与える。「長年の定説に挑み、1912年のあの運命の夜に本当は何が起きたのか新たな洞察を明らかにするものだ」。
映像内ではタイタニックの専門家のパークス・スティーブンソン氏、冶金(やきん)学者のジェニファー・フーパー氏、商船の船長であるクリス・ハーン氏が実物大に再現された船内を歩き回り、従来明らかになっていなかった細部を検証する。
重要な発見の一つは目に見える形で開いた蒸気弁で、機関士たちが氷山衝突後も2時間あまりにわたってボイラー室のそれぞれの持ち場にとどまっていたという証言を裏付けている。
これによって電力供給が維持され、乗員は救難信号を送ることができた。つまりボイラー室に残った35人は、他の数百人の命を救うために自らを犠牲にした可能性がある。
マゼラン社のスキャンでは、船体の一部が崩壊しつつある様子も明らかになった。だがナショナル・ジオグラフィックによると、今回のデジタルツインでは「タイタニックは2022年当時の姿のまま、細部まで完璧に保存されており、未来の世代のため歴史の中に場所を確保し、水中考古学の新たな時代を切り開くことができる」。